メトロポリタンオペラの新作 “The First Emperor”(秦の始皇帝)を観てきました。12月21日の初演日。
この“The First Emperor”は新作です。そう、誰も観たことも聴いたこともないオペラ。作曲は Tan Dun (タン・ドゥン)さんという中国人作曲家。衣装は、あのワダエミさん。残りのスタッフは、アメリカ人照明家を除いて全て中国人という異色の作品です。
当初、観に行くつもりはなかったので、チケット購入を思い立ったときには、250ドルと550ドルのチケットしか残っておらず、他の日も同様でしたので、今回は、初の「立ち見」デビューとなりました。
「立ち見」チケットは、通常の座席が売り切れになった場合に発売されます。公演当日の朝10時販売開始。ボックスオフィスに行くか、電話でも購入可。
「立ち見」には、オーケストラの一番後ろとファミリーサークルの最上階の2種類あります。今回は朝10時に2度電話したときはつながらず、10時30分頃にダメモトで電話したらファミリーサークルの「Standing Room 43」のチケットが取れました。端の通路から3番目。チケット代15ドル+寄付と手数料=約30ドルでした。
これは座席、ではなく「立ち位置」からの視界。オペラグラス必携です。舞台は全部見えますが、上部が1/4ほど欠けます。


「立ち見席」でもちゃんと字幕があります。ただ、間隔が狭いのでかなり厳しい状況です。荷物を置く場所もないので、手荷物は少なく、コートは床に置きますので、大きなビニール袋等の持参がオススメ。もちろん、3時間以上立てる靴でお出かけを!
チケット受け取る窓口のおじさんに「Tachimi Ganbatte tanosinde」と日本語で励ましてもらいました(笑)
話題作なので、テレビ局のお兄さんがカメラ撮影に来てました。↓の広告の写真は、主役のプラシド・ドミンゴさんです。
こういう日は、普段と雰囲気がちょっと違いますね。確かに年末近くになると正装の方も増えますが、この日は、男性はタキシード姿が当たり前のように、女性も一番フォーマルな黒のイブニングドレス姿が目立ちました。毛皮のコート付き。
オペラハウス内のレストランでは、VIPな紳士淑女が揃ってプレシアターディナーを楽しんでます。
これは行くときに撮影したマンハッタンの夜景。この日はユダヤ教のハヌカのお祝い色ブルーのエンパイアでした。
(この夜のタクシーとフェリー)
この夜は、タクシーをつかまえるのに20分近くかかりました。いつもタクシーは1~2台横取りされます…というか、皆が「自分が止めた!」と思うのかもしれません。でもこの夜は、明らかに横取りされ続け。。。なぜ???皆、ドレス着て、タキシード着て紳士淑女に見えるのに、なぜ?いつもより横取りが多いの???着てる服が上等でもマナー悪すぎ!と怒っていると、隣で同じように困っていたダウンジャケットのご婦人が、とうとう白タクを止めて「クロスタウンなら一緒にどう?」と誘ってくれました。とても優しい顔の白人のご婦人でした。「私、フェリーなんです」と言うと「そう、気をつけてね。」とちょっと残念そうに、これまた優しいお言葉。そうすると、次に来たタクシーの黒人運転手さんが、タクシーを止める人波の一番奥にいる私を、はるか向こうから指差しながら近づいて来てくれたんです。流石に運転手さんが指差してると、誰も横から入れないのですね。
そうして無事にフェリー乗り場へ。0時10分発。この後にも1時過ぎまで3便ありますが、ニュージャージー側で公共交通機関と接続しているのはこの便が最終。だからかどうか分かりませんが、このフェリー、岸を離れて方向転換する直前にガガガっと止まり、再び乗り場へ逆戻り。「何?」と思っていると、乗り場へ走ってくる一人の男性。つまり、乗り遅れたお客さんを乗せるために、戻ったわけです。かなり岸壁から離れていたんですが。。。私も機会があればチャレンジしてみます(笑)
(オペラの会場鑑賞)
最上段に居たので5階の観客の動きや、会場の雰囲気が良く見えたのですが、メットで初めて途中退場の数名の観客を観ました。そして聞こえるアクビにおしゃべり。オペラに集中していない会場全体の雰囲気がよく分かりました。そしてインターミッション。が終わると、なんと、空席がパラっと見えるのです。立見席も同様。私の両端のカップルは居なくなりました。立ち見が辛かったのかもしれませんが。前日の「魔笛」は終わった後にスタンディング拍手や「ブラボー」の声も響き、スグに帰ろうとする観客はあまりいなかったのですが、この日は皆一斉に立ち上がったと思ったら、スタンディング拍手ではなく、ソソクサと帰り仕度を始めるです。
ドミンゴさんすばらしかったです。他の歌手の方もすばらしかったです。ワダエミさんの衣装も効果抜群ですばらしかったです。舞台装置も凝ってました。
世界最高峰と言われるメトロポリタンオペラが新作を発表するというのは、どれだけのプレッシャーがあったのだろうと、この日で何かを得る人、失う人がきっといて、そんな緊張感で今このオペラを観ているのだろうと、そんなことを途中で考えてました。あ、私も集中してなかった一人ですね。。。とにかく、たぶん、二度と立ち見にならないように、チケットが早めが自分にオススメ!